プロジェクト概要

活動組織について

被ばく医療人材育成推進委員会のもと、推進本部および2つのグループに属する6つの部門で構成されています。

被ばく医療人材育成推進プロジェクト 組織図


各部門紹介

被ばく医療教育研修部門

現職の看護師・診療放射線技師等のための短期研修の場として、被ばく医療研修を開催しています。eラーニングによる事前学習を含む教育プログラムを実施し、緊急被ばく医療に関する基礎知識の講義とシミュレーション演習を展開しています。


放射線看護教育部門

大学院博士前期課程の『放射線看護高度看護実践コース』における教育を行うとともに『放射線看護教育支援センター』を設置し、現職看護職者等を対象に放射線看護セミナー等の開催や相談活動を行います。


放射線リスクコミュニケーション教育部門

放射線リスクコミュニケーションに携わる専門職及び学生に対するリカレント教育、一般市民を対象とした啓発活動など、将来的な人材育成を目指した場面を提供しています。


グローバル人材育成推進部門

国内外の被ばく医療関連機関との人的交流、学術交流を積極的に進めることで、保健学研究科教員の国際性を涵養するとともに、外国人留学生の大学院入学を推進し、緊急被ばく医療および放射線科学に関して近隣諸国との連携を強化します。


浪江町支援部門

弘前大学は福島県浪江町と平成23年から連携協定を締結しています。そのなかで、保健学研究科では福島第一原子力発電所事故の影響により起こった健康問題の解決等に向けて、様々な支援活動を現地でしています。


本プロジェクトのあゆみと目的

弘前大学大学院保健学研究科における緊急被ばく医療に関わるコメディカルの人材育成に向けた取組みは平成19年6月から開始されました。当時、弘前大学では、核燃料再処理施設をはじめとする原子力関連事業所が多数存在している青森県という立地条件を背景として、医学部附属病院に有事の際の緊急被ばく医療を柱の一つとする「高度救命救急センター」を設置する構想が進められていました。

この構想の一環として、緊急被ばく医療における医療専門職人材育成に向けたプロジェクトを保健学研究科内に立ち上げるよう当時の学長からの要請があり、これを受ける形で、本研究科では被ばく患者の看護や被ばく線量測定などの特殊検査に関わる医療専門職の人材育成に向けた検討が開始され、その後、平成20年度に文部科学省特別経費の支援を受けて「緊急被ばく医療支援人材育成及び体制の整備」事業(緊急被ばく医療人材育成プロジェクト)が本格的にスタートしました。

こうした取り組みは、図らずも平成23年3月に発生した福島第一原子力発電所事故に活かされることとなり、当研究科では事故発生直後から多数の支援人材を福島に派遣してきました。しかし、支援活動を通して、想定を超えた多くの課題が顕在化したことも事実です。大規模放射線災害における避難住民への対応や心のケアの重要性、放射線リスクコミュニケーションの必要性、中・長期的放射線影響に関する研究者の絶対的不足、国民の放射線に対する知識・関心の高まりと不安の拡大といった課題に対応するためには、より高度で専門的な判断力と実践力を備え、統括的に問題解決できる被ばく医療の専門家が不可欠となるため、緊急被ばく医療人材育成プログラムの見直し・高度化が必要となっています。

このことから、本プロジェクトでは、これまで整備を進めてきた被ばく医療教育体制を基盤として、被ばく医療教育を担う教員の教育技術のスキルアップや、学生・受講者のフォローアップなどを継続的に行うことで、今後の緊急被ばく医療に対応できる医療者及び適切な放射線リスクコミュニケーションの指導を担う人材の底辺拡大を行うとともに、より高度で実践的な緊急被ばく医療人材育成プログラムを開発し、日本学術会議の提唱する国際標準に準拠した高度実践看護師等を視野に入れた“グローカル”な被ばく医療人材育成の拠点を形成することを目的とします。


取り組みの概要

国内外との関係機関との協力・連携のもと、「被ばく医療人材の高度専門化」と「放射線基礎教育の充実と底辺拡大」を柱とした教育プログラムを開発します。具体的には、国際標準に準拠した高度実践看護師制度や日本看護協会が認定する専門看護師を視野に入れた被ばく医療人材育成の拠点を形成し、新たに高度で実践的な大学院教育プログラムを構築します。
また、学校教員及び教職選択学生に対する放射線リスクコミュニケーション教育を行うことで、放射線基礎教育の充実と底辺拡大を図ります。さらに、被ばく医療においては長期的な健康管理が必要となることもあることから、放射能拡散地域の環境影響調査や生物学的影響調査・研究を行い、その結果を教育へ還元するとともに、必要な際には地域あるいは地域住民へ報告を行います。


期待される効果

緊急被ばく医療体制の高度化とともに、人材育成の国際拠点の形成が図られ、放射線のケアやリスクコミュニケーションに優れた人材が輩出されることが期待されます。


プロジェクト目標

  • これまでのプロジェクトにおける活動の中で培った様々なリソースを基に、課題の克服と改善を図り、学部教育、大学院教育、現職者教育を継続し、恒常的な被ばく医療人材育成に努めます。
  • 大学院教育の中で、高度で実践的な被ばく医療人材育成プログラムを継続して実施し、放射線事故・災害における平時からの体制構築や健康課題を有する対象への質の高い看護、放射線診療を受ける患者・家族への水準の高い看護実践を行える「放射線看護専門看護師」を養成します。
  • 学部教育および大学院教育等の中で、放射線リスクコミュニケーションを取り入れた教育プログラムを開発・実施し、社会における放射線リスクコミュニケーションを実施出来る人材の拡大を図ります。
  • 放射線科学・被ばく医療に関連する若手研究者及び大学院生等に対し、海外での活動の推進や国際シンポジウム等の企画運営等への参加を通して、グローバルスタンダードな視点を有する人材の育成を促進するとともに、国際共同研究の発展に貢献します。

ページの先頭へ