プロジェクトのあゆみ

Step3 平成22年度の活動

Step3 平成22年度の活動

 プロジェクト3年目の目標は、前年度に策定した教育カリキュラムに基づいて学士課程ならびに大学院博士前期課程における教育と現職者を対象とした研修プログラムを開始するとともに、被ばく医療に関する学術研究を推進することにありました。学士課程では、新入生から新カリキュラムの中で1年次の教養科目として「放射線防護の基礎」(2単位 履修指定)が開始されました。なお、3年次には被ばく医療における“専門職連携” と“危機管理体制”の理解を盛り込んだ、専門共通科目「医療リスクマネジメント」(1単位 必修)の履修が設定されています。

 一方、大学院教育では博士前期課程の被ばく医療コースがスタートしました。このコースの修了要件には関連科目の履修の指定に加えて、特別研究のテーマが被ばく医療に関連したものであることが指定されており、修了者には、学内認定として「被ばく医療認定士」の認証が行なわれています。初年度の平成22年には3名の学生がこのコースに入学しました。平成23年度末には全員が修了し、被ばく医療認定士の認証が行なわれました。


Step3 平成22年度の活動

 さらに、病院等に勤務している現職の看護師および診療放射線技師を対象とした現職者教育として、緊急被ばく医療の基礎的知識と技術の研修を行なう2日間の短期教育プログラムも開始されました。初日にはそれぞれの専門を被ばく医療という点から深める講義と、他職種連携に関する講義・演習が組まれており、2日目には被ばく事故のシナリオに基づいた合同でのシミュレーション演習がセットされています。なお、看護職にはこの基礎編に先駆けて、半日の入門編として「放射線の基礎知識」の講義が用意されています。平成22年度には青森県内から18名の受講者が参加しました。以降の受講者数は、平成23年度には21名、平成24年度には青森県外からの受講者5名を含む21名という実績でした。


Step3 平成22年度の活動

 研究面では、緊急被ばく医療・支援に関わる保健学分野での研究を組織的に展開することが目標とされ、2年目から着手された研究を継続すると共に新たな研究テーマを加え、健康支援科学と医療生命科学の2領域においてバランスよく研究課題が抽出されました。健康支援科学領域からの研究課題では、訪問看護ステーションにおける防災・災害時対応に関する調査研究、緊急被ばく医療に対する態度への影響要因に関する調査研究、放射線防護教育におけるリスクコミュニケーションに関する研究といった萌芽的な性格をもつ研究が開始されました。これらの研究の成果は、第2回国際シンポジウムにおいてポスター発表という形で報告された他、弘前大学総合文化祭の場でも一般向けの啓発活動の一環として、活動が展示紹介されました。


Step3 平成22年度の活動

 組織面では、全学的な被ばく医療への取り組み体制の整備が行なわれ、新たに弘前大学被ばく医療総合研究所が開設されました。本研究所は、弘前大学におけるこれまでの放射線被ばくに関する研究の推進と各学部、研究科等における教育の支援を行なうことを目的として、「放射線生物学」、「放射線物理学」、「放射線化学」「被ばく医療学」の4部門から構成され、被ばく医療学部門以外の3部門には学内措置により専任教員が配置されました。さらに、弘前大学における一連の被ばく医療に対する取組みを統括するため、平成22年8月には、「弘前大学放射線安全機構」が組織され、放射線の安全管理や緊急事態に大学として組織的に対応するための体制が整備されました。


ページの先頭に戻る