地域貢献・支援活動

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看護職者の教育力開発支援センター

本センターは平成17年度にスタートし、看護職者の効果的指導方法や継続教育のあり方を研究・支援しています。
センター設置の背景として、第一に、近年、生活習慣病(糖尿病、高血圧、脳血管障害、心臓病、がん等)の患者が増加したことがあげられます。
これらの病気を予防するために、ふだん健康状態にある時から食事・睡眠・運動・ストレスのコントロールなどについて学び健康管理をすることが重要です。また、一旦発病した場合は、健康の回復や病気とともに生活する方法を身につけることが必要となります。看護の専門職者として、様々な人々を対象者として、健康の保持増進・回復・管理のために指導的にかかわることは、患者・看護職者双方のためにますます重要になってきています。
本センターは、「研究・開発部門」と「現職者支援部門」の2部門で構成されています。それぞれの部門について紹介します。

【研究・開発部門】

この部門では、「看護職者の教育的機能を高めるための教育プログラム、教育方法、指導技術評価ツールの研究・開発」を重点に活動しています。メンバーは、基礎看護学や看護教育学担当の教員です。

平成17年に、現場の看護職者が「患者指導」をどのように捉えているかについて実態調査を行いました。その調査結果から、看護職者が患者指導の重要性を強く認識し指導技術を高めたいと考えていること、患者指導に対してさまざまな困難を感じていること等が明らかになりました。また、患者指導において心がけているという記述内容の分析から、具体的な指導技術を抽出するとともに指導技術の構造化を試みました。これらを3編の論文として公表しています。
以上の研究成果を発展させて、看護職者の指導技術を高める方策の1つとして「患者指導技術評価尺度」を作成することとし、平成18年から継続して調査を行い、平成22年には全国的な調査をもとに63項目からなる信頼性・妥当性のある尺度を作成しました。次に、この尺度を基に日常使いやすい尺度として、「患者指導技術評価尺度(短縮版)」を作成して平成23年に学会発表しています。

現在は、これまでの活動を発展させて、平成23年度から「患者指導技術評価尺度(短縮版)」の検証およびこれまでの研究成果を看護職者に還元しながら教育プログラムの作成を進めていくために、弘前市内の1病院と連携して「患者指導技術セミナー」を実施しています。
また、看護職者の指導技術を、指導を受ける立場にある患者・家族がどのように認識しているかの観点から分析するために、患者へのインタビュー調査と短縮版の項目を参考に外来に通院中の患者を対象に質問紙調査を実施し、その成果を平成25年度に学会発表しました。
なお、「患者指導技術評価尺度(短縮版)」をHP上に掲載致しましたのでご活用ください。その際には、様式・表現・回答の基準等このままでご使用ください。
→患者指導技術評価尺度(短縮版)はこちらから
もし、修正してお使いになりたい場合は、担当者(齋藤久美子 ksaito@cc.hirosaki-u.ac.jp)までご連絡ください。

【現職者支援部門】

この部門では、現場の看護職者の指導技術の向上への支援を目的に、様々な実践と研究を行っています。メンバーは、基礎看護学・看護教育学の担当教員と医学部附属病院の看護職者です。シンポジウムやセミナーの開催、患者指導に関する事例検討会、タブレットを用いた患者指導方法の開発・効果の評価等を行い、看護職者の指導スキル向上のための支援を目指しています。

▼平成25年度 患者・家族指導スキルアップセミナー

【事例検討会】

参加者は自身の経験談や勤務における具体例などを挙げ、
活発に意見交換しました。

■テーマ
がん化学療法のセルフケア支援
−理解力に不安があった事例−
■日 時
平成25年10月7日
■講 師
弘前大学医学部附属病院 看護部
がん化学療法看護認定看護師 粟津 朱美 氏
■参加人数
16名

【事例検討会】

事例における問題点などを参加者で確認し、対応策などについて活発に意見交換しました。

■テーマ
尿失禁対策のかかわりで困難をきたした事例
■日 時
平成25年11月30日
■講 師
弘前大学医学部附属病院 看護部
2病棟4階 看護師 伊瀬谷美紀 氏
■参加人数
23名

【ワークショップ】

参加者はiPad・Mac book等を自由に用いて、基本的な操作を体験しました。

iPadで活用できる患者指導の教材作り(基礎編)
■日 時
平成25年11月30日
■講 師
弘前大学医学部附属病院看護部
皮膚・排泄ケア認定看護師 鎌田恵里子 氏 他
■参加人数
30名

講師より、患者指導へのiPadの活用事例を紹介していただき、参加者はiPadで用いる教材の具体的なイメージを持って体験に臨みました。実施後のアンケートでは、100%の参加者が「良かった」・「大変良かった」と回答しており、iPadを活用した患者指導に関するセミナーの要望も寄せられました。

(開催予定)

iPadで活用できる患者指導の教材作り(実践編)
■日 時
平成26年2月8日 実施予定
■講 師
弘前大学生協 鈴木 亮 氏

▼タブレット型パソコンを用いた教材の開発

平成24年度から、タブレット型パソコンを患者指導に活用し、教材としての有効性を検討しています。また、iPadで活用できる教材の作成方法の基礎について、講義および演習を含むワークショップを開催しました。地域の看護職者や看護教員が参加し、患者の個別性に応じた教材の作成や、指導技術の向上に役立てています。現在、医療施設から最も関心の寄せられている取り組みです。



▼3年間の活動実績

シンポジウム
患者指導スキル向上のための社会資源の活用と患者指導システムの構築
−患者のためのチーム医療をめざして−
(東日本大震災の影響で延期したものを実施:平成23年6月11日)

セミナー
患者指導スキル向上のためのインタープロフェッショナルワーク
利用者指導スキル向上のためインタープロフェッショナルワーク −理学療法士の立場から−(平成23年10月28日)
がん治療における口腔ケアの重要性 −介入のポイントとセルフケア指導−(平成23年11月18日)
専門外来における患者指導の実際 −その意義と問題点−(平成23年12月9日)
 
セミナー
患者支援のためのインタープロフェッショナルワーク
社会資源の種類と活用方法 −高額療養費・生活保護編−(平成24年11月7日)
精神保健福祉法等の解釈と精神疾患をもっている高齢および障がいを抱えている人々への支援(平成25年2月27日)