Rについては,その信頼性に関して質問が寄せられることがあります.
聞き慣れない名称で,フリーソフトウェアなので,不安を持たれる人も多いようですが,ベースとなるS言語,R言語については世界的に利用されており,その信頼性も高く,医学系論文で解析結果を掲載する上では,全く問題ありません.そもそも著名な統計学者が開発に絡んでいます.信頼度の根拠はここで述べるまでもないのですが,以下を参照してください.
★ウィキペディアR言語
★RjpWiki-Rを薦める100+の理由
★R言語とは(統計科学研究所)
プログラム言語故に,いままで医学研究では余り使われてこなかったというだけで,統計学者をはじめ,数理関係者(統計に偏った方々ですが)は当たり前のように使ってきたソフトです.それでも疑問が払拭出来ない方は,ネットまたは成書でいろいろと調べてみてください.
ひとくちにRといっても,これから紹介する便利なソフトは,改変Rコマンダーというものです.そのためには,R,Rコマンダー,改変Rコマンダーの説明が必要です.
Rは,上記を読めばわかりますが,統計解析に特化したS言語をもとにした,無償版の解析ソフトになります.正確にいうと『オープンソース・フリーソフトウェアの統計解析向けのプログラミング言語及びその開発実行環境』であり,こまめにバージョンが変わっていってます.
類似したソフトウェア(というよりもこちらが本家ですが)にS,S-PLUS(有償)があります.
『R言語の名前の由来は統計解析言語であるS言語の独自実装であるので、S 言語の「一歩手前」の「R」という意味や、二人の創始者であるR. Ihaka,
R. Gentlemanの共通の頭文字に由来しているといわれれいます。R言語はもともと大学の統計学実習用のシステムとして開発された1000行のCコードであるので、このような由来が定説になっているようです。(Think IT 記事)』とのことです.
Rは無償で,世界最高水準の信頼性を持っていながらなぜ普及してこなかったかというと,関数のコマンド入力作業のせいです.
統計解析だけでも難しいのに,こうした関数を入力するのは,知識も必要となり,至難の業です.やはり躊躇しながらもSASやSPSSといった有償の統計ソフトウェアパッケージを購入するのが,妥当でしょう.Rはプログラミングや数学を専門とする方限定のソフトウェアだったのです.
しかしながらRの関数を操作出来るようになれば,市販の統計ソフトウェアよりも可能性が拡がります.Rの可能性はユーザー次第で無限であり,統計を理論から理解して駆使したい人にとっては,最も望ましいソフトとなるわけです.もっとも,大半のユーザーにとっては有償の統計ソフトウェアパッケージの方が便利ですが.
Rは非常に優れていますが,関数を手入力できる知識がないと無理です.
そこで,関数入力をメニューから選んで代わりに入力してくれるというパッケージがRコマンダーです.Rコマンダーは,ここのように,極力関数を使用せずに,マウスを使ってクリックしながら解析を進められるようにRを変更する(これをGUI Graphical User
Interface という)パッケージオプションです.簡単にいえばRを便利にしてくれるオプションです.
Rコマンダーの登場で,初心者でも問題なく使えるようになりました.上述の欠点は解決したともいえます.もちろん拡張性というメリットは失いますが,普通のユーザーにとってはメリットの方が大きいでしょう.
Rコマンダーは便利なのですが,それでもRをインストールしてから,パッケージオプションのRコマンダーをインストールして…,という作業は煩雑です.しかも,選べる統計手法は基本的なものしか備わってません.
それなら,ということで独自の『改変Rコマンダー』を作成しました.改変Rコマンダーとは,当HP管理者が,Rコマンダーだけでは不十分な統計手法に,医学研究で頻繁に利用される手法を付け加えて改変したものです.いままで多くの方にご利用いただいて,バグなどを修正し,かなり使いやすくなっています.
特にこだわりがない限りは,この改変Rコマンダーをダウンロードして使用するのが最も無難です.
◆ベースとなるRのバージョンは,R2.8.1です.少し古いのですが,メニューで選ぶ手法は問題ありません.Rのバージョンアップは,グラフ機能の追加,新たな統計手法の追加など,従来の手法を修正するバージョンアップではありません.もちろん,改変Rコマンダーに関わる部分が修正となった場合は,早急にこちらに広報し,バージョンも変更致します.
◆バージョンが古い理由は,OS-Windows XP,VISTA,7で動作確認済みという点だけです.2.9以降ではVISTAで問題を起こした,とか2.10ではXPで動かないなどの問題が生じていました.そのために,敢えて動作確認のキャリアが多い古いバージョンのままです.ほとんどの医学統計解析レベルでこれより新しいバージョンを使用しなければならない状況はあり得ないでしょう(ROC曲線の差の検定は新しいバージョンでなければならないようです).
◆主に追加されている便利な統計手法は,反復測定分散分析(メンドーザの多標本球形検定,post-hoc testはシェイファー法;分割プロットANOVAも可),テューキー法,スティール・ドゥワス法,ブランド・オルトマン・プロット,ICC,3人以上評価者のκ係数,差の検定の自動選択(エフェクトサイズも出力),ROC曲線,感度・特異度の計算,ステップワイズ法による重回帰分析,AIC基準のステップワイズ法による多重ロジスティック回帰分析などです.
◆計算については,ほとんどRに備え付けの関数を使用しているので,信頼に関する問題は全くございません(ICC以外は関数のコマンド入力を代行しているだけです.不安のある方は,ICCの計算は他ソフトを使用してください).論文には「R2.8.1を使用した」と書けばよいです.
◆計算においてオリジナルのR関数を使用していない手法は,マニュアルに出典を記載しておきましたし,結果の照合も行って問題が無いことを再三確認しました.ただし,個人レベルの保証ですので,万が一のレベルで絶対的な保証はございません(それは市販の統計ソフトも同じだと思います).
★著書「SPSSによる医療系〜」では,コマンド入力による方法を解説していましたが,改変Rコマンダーにより,マウスを使ったメニュー操作で簡単に計算できます.以下の「改変Rコマンダー」をダウンロードしてご使用下さい.操作の解説については,ダウンロード解凍後に添付される説明ファイルをご覧下さい.
★こちらからダウンロード
★ダウンロードしたMyProgram.exeファイルを実行してください.必ず実際に使用するパソコン内か,USBメモリ内で実行します.USBメモリ内で実行・展開すれば,USBメモリを挿したどのパソコンでもRコマンダーを実行できます.保存したデータもそのまま持ち歩けます.
★使用したいPC上で,MyProgram.exeファイルを実行してください.展開後のファイルやフォルダを他のパソコンなどにそのままコピーしても正常動作しないことがあります.
★正常動作しないときは,もう一度,実行してください.4〜5回実行を繰り返した例もあります.
★統計手法は随時追加していってます.定期的にご確認下さい.リアルタイムに掲示しませんので,zipファイルのタイムスタンプを確認して下さい.
★一部,使用マニュアルについては,こちらにも掲載してあります.
Rは,ここからダウンロードします.手順は,webでもたくさん出回っています.例えばここ
Rコマンダーのインストール手順は,ここを参照すれば良いでしょう.
この一般的な,Rコマンダーの使用方法については,たくさんあります.書籍も抱負です.以下も参照下さい.
★Rコマンダーを用いた統計解析