SPSSによる多元配置分散分析
SPSSによる二元配置以上の分散分析(ANOVA)の行い方を解説します。
まず以下のようなデータをとったとします。
このデータの場合,「製品AとB」の要因,「運動前,運動直後,運動5分後」の要因の2要因があります。ところで,被検者が全ての実験に参加している(反復測定)ので,被検者要因(→この場合,解析の都合上,「要因」にしているのでブロック要因と呼びます。)も設けなければなりません。従って,反復測定による二元配置分散分析(または全ての要因を「要因」とみなして三元配置分散分析とも呼びます)を行うことになります。
SPSSには以下のように入力します。
ここから,解析を始めます。まず,以下のように[分析]-[一般線型モデル]-[1変量]を選びます。
すると,以下のようなダイアログボックスが現れます。各変数を空いている部分に移動していけばよいのです。[従属変数]にはデータ列を入れます。
[固定因子],[変量因子]には要因の列を入れればよいのです。この場合,「機種名」はA,Bに固定しているので固定要因,「測定時」も固定要因とします。「被検者」に関しては,一般化を期待しているので[変量要因]に入れます。
すると,以下のようになります。なお,ここでは[共変量],[WLS重み]は関係ありません。
つぎに,[モデル]のボタンをクリックします。
デフォールトでは,[全ての因子による]がチェックされていますので,[ユーザーの指定による]に変更します。
あとはモデルを作ればよいだけです。モデルは,一般的に@要因を1つずつ投入する,A要因どうしの交互作用項を設ける,Bブロック要因との間に交互作用は設けない,という決まりがあります。それに従って,モデルを作ります。
以上のようになったはずです。交互作用の設け方は,2つ以上をクリックして三角ボタンをクリックすればOKです。[平方和]は難しいのでデフォールトのままにします(別に問題ない)。もし詳しく知りたいのなら,私まで連絡下さい(専門的な事項です。知っても役に立つかどうかわかりませんが)。その後は[続行]をクリックです。
また,この状態に戻りますので,もし多重比較を行いたいのなら,[その後の検定]をクリックします。
ここでの多重比較では,機種名,測定時の2つが選べます。三角ボタンを押して,2要因とも選びました。多重比較法は,Tukey法に設定しました。
※注)[因子]として現れるのは,固定要因のみです。間違って[変量要因]にいれた要因は出てきませんので,再設定してください。
多重比較法は説明を簡単にするためにTukey法にしました。実際にはANOVAの後の検定結果はSheffe以外,保証できません。これに関しては私の論文(理学療法における多重比較法の適用.東北理学療法学 13:30-37,2001)を参照下さい。[続行]をクリックします。
あとは[OK]です。
ANOVAの結果は上表です。交互作用以外はp<0.01で,交互作用はp<0.05で有意となっています(有意水準は5%,1%としています)。
多重比較の結果は上表です。全ての要因間にp<0.01で有意な差が認められています。
2元配置以上でも同様に行えば簡単です。交互作用は,ブロック因子を除く各要因すべての組み合わせでモデルに投入します(なお,場合によっては3対上掛け合わせた交互作用は解釈困難となるので,行わなくてもよいといった意見もあります。)。交互作用は3要因以上になりますと,要因1*要因2*要因3*…*要因nまでできてしまいます。