第4回 高度実践看護教育部門セミナー
教育講演では鳴海病院院長の淀野啓先生から「IVR診療~ボクと鳴海病院と,毎日,INE看護師~」と題し、IVRの現在に至るまでの経緯や治療法の多様化、IVRにおける看護師の役割について講演がなされました。もう一つの教育講演として、横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長の井上登美夫先生から、「最新の核医学検査と放射線看護」と題し、核医学診療のこれまでの経緯と発展、PET診療における看護師の役割や課題、核医学における看護師の位置づけなどの公演がなされました。
放射線看護に携わる看護職の学習ニーズが高い核医学診療とIVR診療に関する最新の知見から、これからの放射線診療に関する看護師の役割について理解を深めることができたのではないかをと思っております。ご参加くださった皆様、誠にありがとうございます。
東京医科歯科大学大学院共同災害看護学専攻大学院生との情報交換会
● 「被ばく医療人材育成プロジェクトの概要」
● 「博士前期課程の放射線看護高度看護実践コース及び被ばく医療コースの教育課程」
● 「福島第一原子力発電所事故後の本学の対応」
● 「被ばく医療コース修了生の活動」
東京医科歯科大学の学生の皆さんと、それぞれの専門分野の視点に立った被ばく医療における看護や看護活動の実際について意見交換を行いました。
日本看護研究学会第41回学術集会 特別交流集会5
テーマ:これからの放射線看護と教育の展望
看護職が放射線と関わる機会は医療の場だけではなく、地域や産業分野、ならびに有事の際の被ばく医療へと広がっています。これらを全て包含するのが、「放射線看護」であり、看護における重要な専門領域の一つです。
本交流集会では「放射線看護」の枠組について、太田勝正氏(名古屋大学大学院医学系研究科)からご発表いただきました。太田氏には放射線看護を看護の専門領域とするための要件を現在進めている「看護情報学」に例えてご説明いただきました。要件としては①区別された(異なる)看護実践があること、②その分野に特定された研究が行われていること、③その分野を代表する組織、機構があること、④その分野の教育プログラムが構築されていること、⑤資格認定の制度があることをあげ、④以外は着実に実績を積んでいるが、④については学部レベルの教育プログラム、資格等の認定のしくみができていないことが課題であることを指摘していました。放射線看護の確立と普及のためには看護基礎教育における教育プログラムの構築と指定規則への組み見込み、放射線を恐がらない看護職を育成するための研修、高度実践看護師(CNS)の育成、放射線看護研究の促進、日本放射線看護学会の発展が必要であることを再確認しました。
長崎大学、鹿児島大学、弘前大学では放射線看護に関する高度な教育が必要であると認識し、福島第一原子力発電所事故の前から大学院での教育を開始しました。三大学の修了生を代表し、長崎大学大学院修了生である吉田浩二氏(福島県立医科大学災害医療総合学習センター)から福島第一原子力発電所事故の急性期における活動を紹介していただきました。事故直後の混乱した状態で、さらに少ない情報の中で、医師や技師をはじめとした放射線の専門家と看護職の連携活動が必須であり、大学院での教育成果が即座に活用・展開された活動内容でした。個人線量計と空間線量計の測定値から自身が被ばくしていないことを確認しながら活動するなど、エビデンスに基づいた判断をすることが可能でした。まさしく放射線に関する専門的な知識を有する看護職の活動でした。
また、平成27年度から専門看護師を視野に入れた大学院教育(CNS38単位)が三大学で開始されました。野戸結花氏(弘前大学大学院保健学研究科)からは三大学の教育の現状について紹介するとともに、弘前大学の「放射線看護高度看護実践コース」の紹介がありました。放射線看護の考え方として、「被ばく医療における看護支援」と「医用放射線利用に伴う看護支援」を2つの柱とし、対象と活動範囲について報告がありました。このような教育を行っている大学が少ないことから鹿児島大学との単位互換、社会人の就学者のための制度、インターネットを活用した遠隔授業を行っていること、一部の授業ではe-learningを採用し、受講者の都合に合わせて受講が可能であること、さらに最大4年間の履修が可能である長期履修制度を行っていることなどが紹介されました。
最後に浦田秀子氏(長崎大学原爆後障害医療研究所)からは、長崎大学・福島県立医科大学が平成28年度から共同で開設する「災害・被ばく医療科学共同専攻(修士課程)」についての紹介がありました。被ばく医療や災害医療分野の実績をもつ両大学がそれぞれの実績を活かし、各専門家との協働に基づく適切な判断と対応能力をもつ人材の育成をねらいとしています。医科学コースと保健看護学コースの2つがあり、保健看護学コースは「放射線防護及び放射線リスクコミュニケーションの専門知識を基盤に臨床放射線科業務に精通するのみならず、放射線災害発災期から事故収束期、復興期一連の流れの中で、対象に寄り添いながら不安や疑問に対応できる看護師・保健師の育成」を目的としています。
放射線看護を浸透させる戦略としては、指定規則に「放射線看護」を盛り込むことにより看護基礎教育での教育が可能となること、さらに演習を取り入れ知識を確実なものとすることも重要な戦略であるとの提言がありました。看護基礎教育で教育する場合には、より理解が進むように看護と直結して考えることができるように開講年次等の検討も必要であるとの意見が出されました。
放射線看護の教育は必要であるが、専門性が高いため教育担当者が少ないという現状があることも事実です。そのために大学院レベルで専門的な教育を受けた修了生が、看護実践に止まらず、教育スタッフとしての役割を担うことの必要性と重要性も確認されました。また、海外においても放射線看護は確立されていない現状を考えれば、日本から世界に向けて情報発信していく必要性があり、そのためにはこれまでの活動を継続することの重要性と多くの方々のご支援・ご協力が必要であり、今後の展開が期待されます。
【放射線看護企画グループ】
西沢義子(1)、太田勝正(2)、野戸結花(1)、浦田秀子(3)、新川哲子(4)、吉田浩二(5)、松成裕子(6)、八代利香(6)、井瀧千恵子(1)、漆坂真弓(1)、北島麻衣子(1)、藤井宝恵(7)
(1)弘前大学大学院保健学研究科 (2)名古屋大学大学院医学系研究科 (3)長崎大学原爆後障害医療研究所
(4)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 (5)福島県立医科大学災害医療総合学習センター
(6)鹿児島大学医学部保健学科 (7)広島大学大学院医歯薬保健学研究院
ICRR2015 弘前大学サテライトミーティングを開催
シンポジウムのテーマは「A review of Japan's Radiation Nursing framework」とし、当日は60名の参加者とともに日本における放射線看護の枠組みを討論する機会となりました。
特別講演では、Dekalb Medical Center看護師のMie Fowler先生より、アメリカにおける放射線看護の現状について、基調講演では、東京医療保健大学副学長、日本放射線看護学会理事長の草間朋子先生より、「放射線看護-過去・現在・未来-」と題し、日本の放射線看護教育と未来展望についてご講演がなされました。
最後のパネルディスカッションでは、「日本からの提言、福島第一原子力発電所事故から看護職は何を学び、世界に向けて何をどう発信していくのか?」のテーマで、弘前大学大学院(被ばく医療コース)、長崎大学大学院(放射線看護専門看護師コース)、鹿児島大学大学院(放射線看護専門コース)のそれぞれの修了生の講演とパネルディスカッションが行われ、記念すべき大会を盛会の内に終えることができました。これからの日本の放射線看護及び放射線看護教育の発展に向けて一歩を踏み出すことができたのではないかと思っております。
ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。
ふたばワールド2014 in かわうちでの地域住民への健康支援事業
ふたばワールド2014の参加者はおおよそ8000人で双葉8市町村の住民を中心に近隣の住民が参加しました。弘前大学の企画に対して多くの皆様が興味を持ち、350名以上の方が当該ブースを訪れました。メッセージには、「あなたが健康だと思うのはどんな時ですか?」「健康の秘訣は?」といった内容で記載いただきました。おいしいものを食べるときが健康だと感じるや家族で過ごすのが一番など、様々なメッセージがありました。体は健康だけど心は・・という方も数名おられ、広域の汚染に伴う避難生活や震災を機に焦点化された様々な問題に心を痛めている状況が伝わってきました。心理社会的な支援は継続的に必要であることを痛感させられました。なお、本事業は、平成26年度環境省受託事業 原子力災害影響調査等事業(放射線による健康不安の軽減等に資する人材育成事業及び住民参加型プログラム等の実施並びにリスクコミュニケーションに係る拠点の設置等)の一部として行いました。
ふたばワールド2014開会式
弘前大学ブース前
ブース前の掲示版
インタラクティブホワイトボード
プリントアウトの例
第3回 高度実践放射線看護教育部門セミナー
今回、医用放射線利用に関する最新の知見を紹介するとともに放射線に関する看護相談への対応について参加者と意見交換を行うことを目的にセミナーを開催する。
1.日時 | 平成26年11月1日(土) 13時30分~16時40分(質疑応答を含む) |
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2.場所 | 千葉市稲毛区 放射線医学総合研究所 推進棟大会議室 |
3.テーマ | 「医用放射線利用の最新知見と放射線検査に関する看護相談に向けて」 |
4.スケジュール |
13:30~13:40 開会の挨拶 13:40~13:50 放射線看護高度看護実践コースの教育内容について 野戸結花先生 13:50~14:05 医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)活動紹介 神田玲子先生 14:05~15:05 教育講演(放射線診療の最前線:骨転移診療の現状と将来) がん研究会有明病院 小泉満先生 15:05~15:15 休憩 15:15~16:35 患者さんの不安にどう答えるか? (15:15~15:35)①活動紹介:千葉こども病院:星岡明先生 (15:35~15:50)②話題提供:千葉こども病院:荒井まさ江先生 (15:50~16:35)③意見交換:事前質問への回答を含む ファシリテーター:神田先生、野戸先生 16:35~16:40 閉会の挨拶 |
5.講師 |
教育講演:小泉満先生(がん研究会有明病院 画像診断センター 核医学部 部長) 活動紹介:星岡明先生(千葉こども病院 医療局長) 話題提供:荒井まさ江看護師(千葉こども病院 外来看護師長) 意見交換ファシリテーター:神田先生(放射線医学総合研究所) 野戸先生(弘前大学) |
6.対象 | 放射線看護や小児の放射線検査に興味・関心のある医療職者 |
7.参加人数 | 100名程度 |
8.お申し込み方法 |
インターネットによるお申し込みとなります。 下の「申込みフォームはこちら」から、お申し込み手続きを行ってください。 お申し込み手続き完了後,入力いただいたE-mailアドレスにお申し込み内容確認のメールをお送りしますので,ご確認をお願いいたします。メールが届かない場合には,下記の問い合わせ先までご連絡をお願いいたします。 申込み締切:終了しました |
9.主催/共催 |
主催:弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会 共催:放射線医学総合研究所 日本放射線看護学会 |
担当者 | 弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会 高度実践看護部門 |
連絡先 |
健康支援科学領域 井瀧千恵子 電話/FAX:0172-39-5974 E-mail:itakichi@cc.hirosaki-u.ac.jp |
交流セッション21「放射線看護の実践と教育の在り方」
日本看護学教育学会第24回学術集会
交流セッション21「放射線看護の実践と教育の在り方」
日時 | 平成26年8月27日(水)14:50~16:20 |
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場所 | 幕張メッセ国際会議場(千葉市美浜区) |
宮腰由紀子先生からは「看護基礎教育における「放射線看護」教育実践の現状」についてご講演いただきました。広島大学では放射線看護に関する教育を、11科目以上にわたり、必修12コマ・選択2コマ・実習で0.5コマ以上実施しているものの、講義・演習の科目散在により講義終了後の放射線看護の認識度が不十分なことから、看護基礎教育に専門科目として「放射線看護学」を少なくとも15時間程度は設定したいとの提案がされました。
福島芳子先生からは「福島原発事故後、地域に求められる「実践力」と「教育」」についてご講演いただきました。環境省放射線専門官ならびに福島県での活動経験を基に、避難住民の帰還に向けた「早期帰還・定住プラン」の紹介と帰還に向けては放射線リスクコミュニケーションが必要であり、地域住民の身近におり細やかな対応ができる保健師・看護師の活躍が期待されており、まさしく看護実践活動であるとの提言がありました。
交流セッションには約40名が参加し、看護基礎教育から放射線看護が隠された状況を共有するとともに現状では放射線看護教育担当者が不在のために未だ「放射線看護学」の導入は難しく、「放射線看護」から始めなければならないこと、医用放射線の利用に伴い、看護職自身が放射線に関する正しい知識を獲得する必要があること、そのためには看護職に対する教育・指導を担う放射線看護の専門家を配置することの必要性を看護管理者が認識するなど、放射線看護教育について活発な意見交換が行われました。日本における放射線看護教育の必要性を参加者一同が再確認し、多職種連携により本課題に取り組んでいくことが確認されました。
セミナー「アメリカにおけるAdvanced Practice Nurse & がん臨床試験」
弘前大学大学院保健学研究科 高度実践看護教育部門 第2回セミナー
「アメリカにおけるAdvanced Practice Nurse & がん臨床試験」のお知らせ
このたび米国でCNSの資格を取得し、看護実践を行っている石井氏から米国の専門看護師やナースプラクティショナー等に共通する役割や将来展望について、またがん臨床試験を受ける患者の看護についてご講演をいただきますので、ご案内いたします。
皆様方の多数のご参加をお待ちしております。
日時 | 平成26年8月1日(金) 17:40~18:40 ※質疑応答を含む |
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場所 | 弘前大学保健学研究科 第24講義室 |
対象 | 学部学生、大学院生、研究科教員、看護師 |
講師 |
石井 素子 氏 University of Hawaii Cancer Center(ハワイ大学がんセンター) Clinical Research Nurse、CNS |
テーマ | 「アメリカにおけるAdvanced Practice Nurse & がん臨床試験」 |
参加費 | 無料(事前申込み不要) |
連絡先 |
弘前大学大学院保健学研究科 総務グループ 桑田,岩間 Tel: 0172-39-5518 E-mail: kuwata@cc.hirosaki-u.ac.jp |
「アメリカにおけるAdvanced Practice Nurse & がん臨床試験」ポスター
ワークショップ&セミナー「地域医療専門職のための高度医療教育体制の構築」
地域保健医療教育研究センター
弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療人材育成プロジェクト
高度実践看護教育部門 合同企画
ワークショップ&セミナー「地域医療専門職のための高度医療教育体制の構築」
開催のお知らせ
通訳ありです。お気軽にご参加ください。
日時 | 平成26年7月22日(火) 14:00~19:00 |
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場所 | 弘前大学保健学研究科 |
内容 |
ワークショップ 14:00~16:00 シミュレーション教育の実践とインストラクションデザイン セミナー 18:00~19:00 地域医療におけるシミュレーション教育の意義 ハワイ大学における医学教育及び医療従事者への教育実践 |
講師 |
ハワイ大学医学部SimTikiシミュレーションセンター Benjamin W Berg教授 |
参加費 | 無料 |
連絡先 |
弘前大学大学院保健学研究科 健康増進科学分野 地域保健医療教育研究センター 冨澤 登志子 |
電話/Fax | 0172-39-5933 |
tmtott@cc.hirosaki-u.ac.jp |
第1回 高度実践看護教育部門 セミナー
弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会
第1回 高度実践看護教育部門 セミナー
参加者のアンケート結果
第1回 高度実践看護教育部門 セミナー
弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会
第1回 高度実践看護教育部門 セミナー 開催のお知らせ
1.日時 | 平成26年1月11日(土) 13時00分~16時00分(質疑応答を含む) |
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2.場所 | 東京 TKP麹町駅前会議室 (住所:東京都千代田区麹町3-2 麹町共同ビル8階) |
3.テーマ | 「放射線看護の高度化・専門化をめざした教育と展望」 |
4.教育講演 | 「核医学検査における看護師の被ばくについて」 北海道大学大学院保健科学研究院 教授 加藤 千恵次先生 |
5.シンポジウム |
◆「これからの放射線看護を考える」放射線診療の立場から 国立がん研究センター中央病院 病棟医長 角 美奈子 先生 ◆がん放射線療法看護認定看護師の教育の立場から 静岡県立がんセンター 副院長 青木 和惠 先生 ◆行政の立場から 環境省 環境保健部放射線健康管理担当参事官室 参事官 桐生 康生 先生 |
6.対象 | 放射線看護に興味・関心のある医療職者 |
7.参加人数 | 100名程度 |
8.参加者の募集 |
事前募集:参加希望の有無をメールでお知らせください:締切12月25日(水) 参加申し込み先:E-mail: itagaki1@cc.hirosaki-u.ac.jp Fax :0172-39-5912 弘前大学保健学研究科 総務グループ 板垣 |
9.主催/共催 | 主催:弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会 共催:日本放射線看護学会 |
担当者 | 弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療検討委員会 高度実践看護教育部門 |
連絡先 | 健康支援科学領域 井瀧千恵子 電話/FAX:0172-39-5974 E-mail:itakichi@cc.hirosaki-u.ac.jp |
日本放射線腫瘍学会 第26回学術大会 シンポジウム
日本放射線腫瘍学会 第26回学術大会 シンポジウム(平成25年10月20日、青森市)
放射線治療における看護職の役割と今後の展望
日本放射線看護学会は日本がん看護学会と協働し、日本放射線腫瘍学会第26回学術大会において看護シンポジウム「放射線治療における看護職の役割と今後の展望」を開催しました。運営は日本放射線看護学会会員でもある本研究科高度実践看護教育部門のメンバーが中心に行いました。放射線治療や看護に携わっている4名のシンポジストをお招きし、それぞれの立場からの実践活動を通して、看護職に期待される役割とこれからの放射線看護のあり方について討論の機会を持つことができました。
本シンポジウムの座長は荒尾晴惠先生(大阪大学大学院 医学系研究科)と本研究科高度実践看護教育部門の野戸結花が務めました。以下に、シンポジストと講演テーマ、講演内容の概略を紹介させて頂きます。
◆ 森 貴子 氏(自治医科大学附属病院 看護部)
「放射線療法完遂に向けて、がん放射線療法看護認定看護師が出来ること」
がん治療の現状、がん放射線療法看護認定看護師の役割、勤務されている施設の現状、臨床での役割についてなど
◆ 藤本 美生 氏(兵庫県立粒子線医療センター 看護部)
「放射線治療を受ける患者のQOLを支える看護支援」
がん看護専門看護師の活動、QOL支援として放射線治療中の有害事象の緩和とその予測の重要性、治療計画を看護の視点で読み解く、栄養サポートチームの活動、放射線治療終了後の支援など
◆ 作田 裕美 氏(大阪市立大学大学院看護学研究科)
「放射線治療科外来で活用できる看護の専門性」
日本のがんの現状、放射線治療を受けるがん患者が持つ課題、リンパ浮腫患者のケア実践と課題など
◆ 青木 昌彦 氏(弘前大学医学部附属病院 放射線部)
「放射線看護の高度化に向けて医師の立場から期待すること」
放射線看護の現状と課題、放射線治療における高度実践看護師を増やすための提言、医師の立場から期待する看護の専門性など
会場からは、放射線治療に従事する看護師数の不足や、その中で放射線治療看護に高い専門性を持つ看護師の育成は喫緊の課題であること、専門看護師・認定看護師養成の課題として長い教育期間や経費負担、休職、身分保証など様々な問題があることが確認され、改善策に関して活発な意見交換がされました。なお、本シンポジウムの参加者は約130名でした。
日本看護研究学会第39回学術集会 交流集会Ⅴ
日本看護研究学会第39回学術集会 交流集会Ⅴ(平成25年8月23日、秋田市)
放射線看護の高度化・専門化に向けたIPEによる教育システムの構築
─ 被ばく医療人材育成プロジェクトの経験から ─
現代医療における放射線診療はますます高度化・専門化し、その適用範囲は年々拡大していることから、放射線看護についても一層の専門的知識・技術の向上が求められています。一方、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故により住民への支援や緊急被ばく医療に適切に対応できる人材が十分に育成されていなかったという問題が露呈しました。
弘前大学大学院保健学研究科では福島第一原子力発電所事故の3年前から放射線事故の際に求められる被ばく医療を担える人材の育成に取り組んできました。図らずも、その成果が福島原発事故後の支援の一端に生かされることになりました。
今回、我々の取り組みとして3つの観点から話題提供しました。まず1つ目は、被ばく医療における人材を育成するために、教員の資質向上を目的として参加してきた国内外における数々の取り組みについて、次に、放射線に関する基礎的知識を有する医療者の教育を目的とした本学の学部教育カリキュラムとその内容、ならびに教育効果を紹介しました。そして、専門的職業人および教育者養成をねらいとした本研究科博士前期課程被ばく医療コースの教育を紹介しました。
最後に、放射線看護学の看護基礎教育および大学院教育を軸として、放射線看護の高度化・専門化に向けた教育システムの構築について、意見交換を行いました。内容として、他大学での放射線看護に関するカリキュラムの紹介が行われました。また、学部教育の中で科目として放射線看護学を設けていない大学から、大学院教育の中で放射線看護に関する基礎科目も設定されていることから、放射線看護を専門的に学ぶために弘前大学等の大学院への進学を薦めていくことが可能であるとの心強い意見もいただきました。
なお、本交流集会には40名の参加が得られ、貴重な意見交換の場となりました。
(世話人:弘前大学保健学研究科 西沢義子、野戸結花、木立るり子、井瀧千恵子、冨澤登志子、北宮千秋、一戸とも子)
こどもさんとお母さまとの遊びと語りのプロジェクト
平成25年7月6日福島県二本松市で行われた「こどもさんとお母さまとの遊びと語りのプロジェクト」に参加してきました(日本災害看護学会東日本震災プロジェクト主催)。
対象は、二本松市内の幼稚園に通う子供たちとご両親です。場所は、二本松駅から30分ほど離れた丘陵地で、NPO団体や幼稚園の関係者の皆様が子供たちのために除染した広場で行われました。福井県および宮城県のボランティア大学生たちが、子どもたちのために、鬼ごっこやかけっこ、サッカーなど思いっきり遊べるようにサポートし、また焼きそばやかき氷などの屋台でお腹を満たせるようにしました。会場は終始、笑い声が響いていました。
弘前大学は、教員・大学院生7名で、お母さま方への癒しとしてアロマテラピー、ストレッチを行いました。この癒し企画はフル稼働となり非常に好評でした。お母さま方は、子ども達をスタッフに預け遊ばせている間、仲の良い方お母さま同士がおしゃべりをしたり、癒し企画を楽しんだりと、とてもリラックスできたようです。
原発事故の課題に直面していかなければならない住民の皆様に対し、看護の視点でできることがあれば柔軟に対応していく必要があると感じました。