放射線リスクコミュニケーション教育部門 第6回講演会
リスクガバナンスの視点から
福島県を巡る課題について考える機会を得ることができました。
リスクガバナンスの視点から見る福島避難者の支援について、帰還する権利と移住する権利を中心にお話いただきました。福島の避難者の方々からの聞き取りにより、当事者が指摘する復興に向けた課題はよりいっそう明らかにされました。帰還・移住の判断基準、自己決定と多様性の尊重、個に対する直接支援と集団を介した支援、これら3つの論点から福島県内におけるリスクコミュニケーション(過去・現在・未来)を考える機会を得ることができました。また、リスクコミュニケーションより更に一歩進んだリスクガバナンスという概念が社会全体の最適化のためには重要であることが理解できました。
難しい内容ではありましたが、日常におけるリスク比較や具体的事例などイメージしやすい表現により、講演後半には惹き込まれるよう聞き入っていた参加者も多くみられました。充実した時間をどうもありがとうございました。
****** 講演会には、弘前大学教職員・学生・一般市民・医療職および消防関係者等の計25名が参加しました。*****
大間町職員を対象とした放射線リスクコミュニケーションのワークショップ
本ワークショップは、大間町の行政職員を対象として、放射線についての基礎知識をわかりやすく説明し、放射線リスクコミュニケーションについて考える機会を持ち、その必要性について検討する機会となることを目的として開催いたしました。
本ワークショップは平成27年9月15日、10月22日、11月30日の3回シリーズにより、「放射線の基礎知識」、「放射線リスクコミュニケーション」および「グループワークによるカードを用いた演習とロールプレイ」の内容で実施されました。
参加された方々には、なごやかな中にも真剣な表情で取り組む様子がみられ、最終日には受講生10名へ修了証が授与されました。今後の大間町行政において、大いに御活躍いただければ幸いです。
会場の様子
カードを用いた演習の様子
修了証を授与された皆様
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第5回講演
リスクコミュニケーションの難しさと大切さについて、
シミュレーション体験を通して改めて考える機会を得ることができました。
福島原発事故以来、社会を取り巻く多様なリスクに関する情報を、多くの人々が共有し意思疎通を図ることがいかに重要かつ困難であるか、我々は再認識させられました。学問としての「リスクコミュニケーション」はまだ歴史が浅く、その教育方法についても発展途上と思われます。今回は、土屋智子氏の主導により、放射線をキーワードとしたシミュレーション体験を演習形式で取り入れ、リスクコミュニケーションの理解とその教育について考える機会を得ることができました。また、小グループによるロールプレイは座学とはまた別の視点から我々に、リスクコミュニケーション教育におけるファシリテーターの重要性について示唆するものがありました。参加くださった皆様、どうもありがとうございました。
****** 講演会には、保健学研究科教員9名が参加しました。*****
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第4回講演会
共催:平成26年度 弘前大学総合文化祭「知の創造」
市民公開講座「放射線リスクコミュニケーションを考える」終了しました。
環境省の看護職として福島住民とかかわりを持った経験を有する福島芳子氏(保健学研究科特任講師)は、「集団から個への放射線リスクコミュニケーションを考える」と題して、事故後3年間を経過し、住民の大きな関心は社会的影響へシフトしていること、個々人の放射線に関する知識の程度やおかれている生活環境の相違により、疑問や考え方等が個別化してきていることから、本当に聞きたい話を気兼ねなく聞ける双方向のコミュニケーションをきめ細かく繰り返し実施する必要が生じていることなどについて、これまで経験してきた実践事例を紹介されました。
放射線リスク、環境保健を専門にしている甲斐倫明氏(大分県立看護科学大学教授)は、「放射線リスクコミュニケーションにいま 何が求められているのか」と題して、事故後、行政や専門家から提供された情報への疑問に、ともに考える形で進行されました。リスクコミュニケーションが、市民と専門家・行政関係者がリスク情報を共有煤ことではあるが、双方向の対話によってともに問題を克服しようという考えからうまれた概念であり、単なる共有ではないはず。このギャップを埋めることからしなければならないことが理解できました。
参加者との議論が活発に行われました。終了後の感想から一部を紹介します。
・原発事故以降の行政の取り組み、放射線に対する精神的なダメージの大きさを理解するとともに、風化させてはいけないと感じました。
・個々人により持っているモノサシが違う。この違いをどのように扱っていくのか,対応するのかが重要だと思う。
・マスコミの影響力は大きい。分からない人は報道をうのみにする。そこを理解した上でのコミュニケーションが必要だと思う。
・放射線の水や食品の影響について疑問を出し合うという講演方法で,身近なことなのでとても興味深く先生や他の人の話をきくことができた。
・情報の受け手にも,ルールが必要なのではないかという提案には目からうろこのような思いがしました。
・やはり,数字で表せるうごかない事実を前提にしたことを伝えることが大事だ。何を前提に事実を伝えるのか,受け手と送り手双方の立場から考えることが必要だと思いました。
・住民の方々が,今どのように生活していけば良いのかという,具体的な情報の発信が必要なのだと学びました。
・情報の発信について,情報を発信するか,しないかの判断においては,ルールが必要である,ということに納得した。
・与えられた情報について,自分で考え,判断するという姿勢は,今の時代においてとても重要だと思いました。
「放射線リスクコミュニケーション教育部門 第5回講演会」 開催案内
文部科学省特別経費事業
「緊急被ばく医療の教育・研究体制の高度化及び実践的プログラムの開発」
リスクコミュニケーションとは社会を取り巻く多様なリスクに関する様々な情報を行政、専門家、市民間で共有し、意思疎通を図ることです。福島原発事故は我々に放射線リスクコミュニケーションの重要性を再認識させました。今回のワークショップでは、講師の土屋智子氏の主導により、小グループによる「放射線、その他のリスクコミュニケーションのシミュレーション体験(ロールプレイ、発表、討論)」により、リスクコミュニケーションの理解やその教育を考えるひとつの機会とします。
日時 | 平成26年11月8日(土)9:00~15:30 |
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会場 | 弘前大学大学院保健学研究科 第21講義室(弘前市本町66番地1) |
対象 | 弘前大学教職員、弘前市内行政機関等職員(行政機関職員、保健所・保健センター職員、消防署職員、幼稚園・小学校・中学校・高等学校教員)等 |
講師 |
土屋 智子氏(特定非営利活動法人HSEリスク・シーキューブ 理事・事務局長) (東京大学政策ビジョン研究センター 特任研究員) 専門分野:リスクコミュニケーション |
テーマ | 「リスクコミュニケーションのワークショップ」 |
申し込み |
事前に、下記の問い合わせ先にお申し込み願います。 申し込み期限:平成26年10月24日(金) |
募集人員 | 30人以内 |
参加費 | 無料 |
主催 |
弘前大学大学院保健学研究科 高度実践被ばく医療人材育成プロジェクト 放射線リスクコミュニケーション教育部門 |
問い合わせ先 |
弘前大学大学院保健学研究科総務グループ 桑田 TEL: 0172-39-5518 E-mail: kuwata@cc.hirosaki-u.ac.jp |
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第3回講演会(第16回青森継続看護研究会との合同開催)
災害時におけるリスクコミュニケーションの重要性について、
被災者への支援経験からの提言をもとに理解を深めることができました。
なかなか概念の理解が得られにくい「リスクコミュニケーション」ではありますが、具体的な理解を深めるためのツールとして紹介された防災ゲーム「クロスロード」には、参加者の関心が高かったように思われました。また、災害発生時に現場で実際に活動されていたシンポジストらの提言には説得力があり、災害時のリスクコミュニケーションには平時の備えが如何に重要であるかが伝わってきました。充実した内容の講演・シンポジウムに対し参加者からは、更にもっとたくさんのお話を聞きたかったとのご意見もあり、放射線リスクコミュニケーション教育の今後の必要性が強く感じられました。参加くださった皆様、どうもありがとうございました。
****** 講演会には、医療職の方々・学生および一般市民の方々、計54名が参加しました。*****
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第4回講演会
平成26年度 弘前大学総合文化祭「知の創造」
市民公開講座「放射線リスクコミュニケーションを考える」開催案内
リスクコミュニケーションとは社会を取り巻く様々なリスクに関する正確な情報を行政、専門家、市民間で共有し、意思疎通を図ることです。福島原発事故は我々に放射線リスクコミュニケーションの重要性を再認識させました。本講演では、「放射線リスクコミュニケーションを考える」というテーマで、放射線リスク、環境保健を専門にしている甲斐倫明氏、および環境省の看護職として福島住民とかかわりを持った経験を有する福島芳子氏、両氏の知見を広く公表することを通して、弘前大学学生、教職員、一般市民が放射線リスクについて考える機会としたく、標題の公開講座を開催いたします。
日時 | 平成26年10月26日(日) 13:30~15:30 |
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場所 | 弘前大学 50周年記念会館 岩木ホール (弘前市文京町1番地) |
対象 | 一般市民、学生等 |
参加費 | 無料(事前申し込み不要) |
内容 |
●テーマ 「放射線リスクコミュニケーションを考える」 ◆講演1 「集団から個への放射線リスクコミュニケーション」 講師:福島 芳子 氏(弘前大学大学院保健学研究科特任講師) ◆講演2 「放射線リスクコミュニケーションにいま何が求められているのか」 講師:甲斐 倫明 氏(大分県立看護科学大学環境保健学研究室教授) |
主催・共催 |
主催:弘前大学総合文化祭「知の創造」弘前大学大学院保健学研究科事業 共催: 弘前大学大学院保健学研究科高度実践被ばく医療人材育成プロジェクト 放射線リスクコミュニケーション教育部門 平成26年度学園都市ひろさき高等教育機関コンソーシアム活性化支援事業費補助金対象事業 |
問い合わせ先 |
弘前大学大学院保健学研究科総務グループ 桑田 TEL: 0172-39-5518 E-mail: kuwata@cc.hirosaki-u.ac.jp |
「放射線リスクコミュニケーション教育部門 第3回講演会」開催案内
文部科学省特別経費事業
「緊急被ばく医療の教育・研究体制の高度化及び実践的プログラムの開発」
弘前大学大学院保健学研究科では,文部科学省特別経費事業「緊急被ばく医療の教育・研究体制の高度化及び実践的プログラムの開発」(平成25年度~平成29年度)を実施しております。今回は,災害時におけるリスクコミュニケーションョンについて,被災者への支援経験からの提言をもとに理解を深めていくことを目的とし,標題の講演会を開催いたします。
日時 | 平成26年9月14日(日)13:00~16:30 |
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会場 | 弘前大学医学部コミュニケーションセンター |
対象 | 本学大学院保健学研究科教職員、本学医学部附属病院職員,県内被ばく医療施設職員,県内保健師,県内行政担当者,一般市民 |
講師・ 講演テーマ |
●教育講演 「災害のリスク・コミュニケーション」 京都大学防災研究所 巨大災害研究センタ―教授 矢守 克也 氏 ●シンポジウム 「災害発生~今へと続く被災者への支援経験からの提言」 シンポジスト 鈴木 るり子 氏 (岩手看護短期大学教授) 吉田 浩二 氏 (福島県立医科大学 災害医療総合学習センター助手) 根本 寿子 氏 (社団医療法人養生会 かしま訪問看護ステーション所長) 日野口 早希 氏 (三沢市役所主事) |
参加費 | 無料(事前申し込みは不要です) |
共催 |
弘前大学大学院保健学研究科 地域保健医療教育研究センター 多職種連携医療推進部門 高度実践被ばく医療検討委員会 放射線リスクコミュニケーション教育部門 社)青森医学振興会の助成を受けております。 |
問い合わせ先 |
弘前大学大学院保健学研究科総務グループ 担当者TEL: 0172-39-5518 E-mail: kuwata@cc.hirosaki-u.ac.jp |
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第2回講演会
科学技術コミュニケーションという視点から、
放射線に特定しないリスクコミュニケーションの基本を学ぶことができました。
弘前大学大学院保健学研究科では平成25年11月26日、北海道大学高等教育機構・准教授・三上直之氏により、「いま求められるリスクコミュニケーションとは」と題し、ご講演いただきました。
科学だけでは解決し得ない問題、社会的・倫理的な価値観が重要となるリスクに対しては、科学技術への一般市民の参加が不可欠であるということが理解できました。また、リスクコミュニケーションはトランスサイエンスであるという概念、そしてその多面性についても知ることができました。地域社会と大学とのコミュニケーション促進のための研究に、日々取り組んでこられた科学技術コミュニケーションの専門家ならではの貴重なお話が盛りだくさんの講演会により、「リスクコミュニケーションとはどういうものか?」を理解する第一歩を踏み出すことができたのではないかと思います。どうもありがとうございました。
****** 講演会には、弘前大学教職員・学生・一般市民・消防関係者等の計34名が参加しました。*****
放射線リスクコミュニケーション教育部門 第1回講演会
原発事故に伴う福島県双葉郡川内村の現状について理解を深め,
放射線リスクコミュニケーション教育の重要性を知ることができました。
弘前大学大学院保健学研究科では平成25年11月5日、福島県双葉郡川内村の現状について福島県双葉郡川内村復興対策課課長・井出寿一氏により、「原発事故に伴う避難から復興の現状、職員として課題はなにか」と題してご講演いただきました。また,長崎大学・保健師・折田真紀子氏により、「長崎大学・川内村復興推進拠点におけるリスクコミュニケーションの展開」と題して放射線リスクコミュニケーション教育の重要性についてご講演いただきました。
川内村は全域が東京電力福島第一原子力発電所より30km圏内に位置しています。平成24年3月31日には20km圏内の警戒区域の解除に伴い、避難指示解除準備区域と居住制限区域に設定されました。事故による全村避難から約1年余りで村長による帰村宣言を発し、急ピッチで除染と復興に取り組んだ結果、帰村率は約半数に達しています。川内村職員により避難から復興の現状についてお話しいただくことで実情と対応についての理解を深め、さらに、実際に住民とリスクコミュニケーションをとっている保健師から、放射線リスクコミュニケーション教育の重要性と実践上の示唆を得ることができました。
講演会後半の質疑応答の場面では、村民の皆さんと保健師・折田先生が深い信頼関係で結ばれていることが、我々にも伝わってきました。
本当に貴重なお話をどうもありがとうございました。
****** 講演会には、弘前大学教職員・学生・一般市民・報道関係者等の計31名が参加しました。*****