平成27年5月23-24日にESRAH2015が開催されました。
平成27年5月23日と24日の両日にわたり、弘前大学保健学研究科で「第2回若手研究者のための放射線と健康に関する教育シンポジウム(The 2nd Educational Symposium on Radiation and Health by young scientists)」(ESRAH2015)が開催されました。
教育講演の講師とポスター発表者を含め参加者は計106名で、海外からはイギリス、スウェーデン、ドイツ、フランス、ハンガリーの5カ国、国内からは北海道や鹿児島から参加を得ることが出来ました。シンポジウム当日は弘前大学大学院保健学研究科と北海道大学大学院保健科学研究院の大学院生が主体となり、教員が大学院生をサポートする形で運営されました。二日間にわたり、教育講演やパネルディスカッション、ポスターセッション等を通じて、国内外の学生ならびに若手研究者が放射線に関する様々な分野で活発なディスカッションをすることが出来ました。
放射線に関する見識を深めることが出来ただけでなく、昨年度に弘前で開催された第1回大会の経験を活かすことで運営もスムースに行うことが出来た為、学生ならびに教員にとって大変実りのある時間になりました。
ESRAH2015は以下のプログラムで進行しました。
(1) 教育講演5演題
Christian Streffer先生(エッセン大学、ドイツ)による放射線生物学の医療への応用、Tibor Kovács先生(パンノニア大学、ハンガリー)による環境中のラドンの影響、Gerry Kendall先生(オクスフォード大学、イギリス)による放射線と小児がんの関係、秋葉澄伯先生(鹿児島大学、日本)による被爆と癌のリスク、Andrzej Wojcik先生(ストックホルム大学、スウェーデン)による原子力災害と放射線線量評価に関する講演が行われました。
(2) パネルディスカッション
弘前大学大学院保健学研究科の真里谷靖教授をコーディネーターとし、Siamak Haghdoost先生(ストックホルム大学)ならびに菅沼大行先生(カゴメ株式会社)を加えた3名の先生方を中心に、放射線によって生体内に生じる酸化ストレスに焦点を当てた、放射線生物影響に関するディスカッションを行いました。
(3) ポスターセッション
若手研究者によるポスター28演題の発表があり、活発な討論が行われました。
(4) 懇親会
土手町コミュニティパークを会場として懇親会を行いました。国内外から50名以上の参加があり、交流を深めました。
受付を担当する大学院生
北海道大学の伊達広行先生によるESRAH2015開会挨拶
エッセン大学のChristian Streffer先生による教育講演
教育講演時の会場の様子
パンノニア大学のTibor Kovács先生による教育講演
ポスター会場での討論の様子
懇親会での国際交流
講演の司会進行を務める大学院生
海外からの参加者と弘前大学・北海道大学スタッフ
平成26年9月21—22日にESRAH2014が開催されました
平成26年9月21日と22日の両日にわたり、弘前市のホテルニューキャッスルで「第1回若手研究者のための放射線と健康に関する教育シンポジウム(The 1st Educational Symposium on Radiation And Health by young scientists)」(ESRAH2014)が開催されました。
参加者は教育講演の講師とポスター発表者を含めるとアンルランド、カナダ、ドイツ、スウェーデン、ハンガリー、セルビア、インド、タイ、トルコ、台湾の11カ国の国と地域から、国内参加者と合わせて約50名の参加を得ることが出来ました。当日は座長を含め弘前大学大学院保健学研究科と北海道大学大学院保健科学研究院の大学院生が主体となり、教員がこれをサポートする形で運営されました。今回の開催にあたり海外の学生や研究者と緊急被ばくに関する熱いディスカッションができたことは学生ならびに教員にとっても大変貴重な体験となりました。
ESRAH2014は主に下記のプログラムで行われました。
(1) 教育講演4演題
James Mc Laughlin先生(アイルランド大学)による放射線防護の基礎、Jing Chen先生(ヘルスカナダ)による放射線リスクコミュニケーションの基礎、Michaela Kreuzer先生(ドイツ連邦放射線防護局)による放射線疫学の基礎、Siamak Haghdoost先生(ストックホルム大学)による放射線の生物影響に関する講演を行った。
(2) パネルディスカッション
日本保健物理学会若手研究会主査の荻野晴之博士をコーディネーターとして、福島事故を中心とした放射線リスクコミュニケーションや放射線の生物影響に関する内容のパネルディスカッションを行った。
(3) ポスターセッション
若手研究者によるショートプレゼンテーション(各々パワーポイント1枚使用の90秒のプレゼンテーション)34演題を実施した。
(4) 懇親会
医学部会館の生協食堂を会場として懇親会を行った。内外から若手の研究者を中心に約40名の参加があり、交流を深めた。
中村敏也教授によるESRAH2014の開会式挨拶
ESRAH2014の会場の様子
座長を担当した大学院生による司会進行
アイルランド大学のJames Mc Laughlin先生による教育講演
ヘルスカナダのJing Chen先生による教育講演
荻野晴之博士をコーディネーターとしたパネルディスカッションの様子
参加者との活発なディスカッションの様子
懇親会での国際交流の様子
ドイツ連邦放射線防護局のMichaela Kreuzer先生による教育講演
若手研究者による1人90秒のショートプレゼンテーション
ポスター展示による討論
ストックホルム大学Siamak Haghdoost先生による教育講演
ポスター賞の授賞式と閉会式
KIRAMSおよびチェジュ島での核テロ対応訓練に参加
平成25年11月12日~16日にわたり、韓国原子力医学院(KIRAMS)の主催する緊急被ばく医療研修およびチェジュ島における核テロ対応訓練に参加しました。核テロ対応訓練への参加は、本年5月にミュンヘンで開催されたGlobal Conference on Radiation Topics(ConRad 2013)に当部門メンバーが参加した際、KIRAMSのDr. Min-su Choと出会ったことから実現したものです。
一方、弘前大学で進めている「被ばく医療プロフェッショナル育成計画」では、KIRAMSにおける海外研修を計画していましたので、この訓練をタイアップさせ、合同参加という形になりました。
チェジュ島のワールドカップサッカー競技場における日韓のサッカーの試合中に核テロが発生したという設定で、テロに対応した体制の構築、初動体制やトリアージおよび除染を含む医療措置を中心とした訓練に参加することにより、緊急被ばく医療の実践について研修しました。韓国内の20以上の機関、病院等の参加した大掛かりな訓練でしたが、私たちはKIRAMS側と協議し、主に核テロに対する日韓での協調・協力体制における問題点を洗い出すことに目標を設定しました。
緊急被ばく医療における国際協力を睨んだ訓練に初めて参加し、これを通して混乱の中での医療活動の遂行やコミュニケーションの難しさを実感し、非常時における国際協力活動の実際を経験できたことは、私たちにとって大きな財産となりました。
また、グローバルな視点から緊急被ばく医療に対応できる人材像の構築に向けた貴重なヒントを得ることができました。
訓練の舞台となったチェジュ島のワールドカップ・サッカースタジアム
訓練前に気合をいれる弘前大学チームメンバー。
右端は韓国国立緊急被ばく医療センター長のDr. Lee、左端は訓練指揮をとるDr. Cho。
大きな爆発音の後、コマンドが到着しスタジアム内でテロリストを警戒
軍の医療班と打ち合わせをする弘前大学メンバー(トリアージ班)
医療処置班はエアーテントの設営を開始(弘前大学チーム)
コマンダー・サイトでトリアージ班と治療班との連携をとる
コマンダー・サイトでは傷病者の医療班への振り分けと治療後の搬送等を指示(星印が日本人傷病者という設定)
軽傷者の受け入れをする弘前大学メンバー(トリアージ班)
重傷者が運ばれ、対応に追われる弘前大学治療班メンバー
エアー・テント内の処置室へ運び入れるメンバー。この後、救急医療処置を施し、病院に搬送した。
ヘリによる重傷者の搬送。
第3回グローバル人材育成セミナー開催
平成25年度の第3回グローバル人材育成セミナーが10月25日に開催されました。
講師には韓国のKIRAMS(Korea Institute of Radiological and Medical Sciences, 韓国原子力医学院)に所属するMin-su Cho博士とSun-sil Kim博士の2名をお招きしました。
本セミナーは高度実践被ばく医療検討委員会グローバル人材育成部門による企画で開催され、本学教員、学生総勢18名が参加しました。
第1演者のMin-su Cho博士には「Education, Training and Capacity of Korea Radiation Emergency System(韓国の放射線緊急体制についての教育、トレーニングおよびキャパシティー)」という題名で講演していただきました。韓国での本格的な緊急時訓練の実施やトレーニングコースについて写真を含めて説明していただきました。大変体系的なシステムで、病院なども加わって本格的な緊急時の訓練が行われている印象でした。
第2演者のSun-sil Kim博士には「Introduction about Education Programs in KIRAMS and Exercise Scenario in Jeju(KIRAMSにおける教育プログラムとチェジュ島での訓練シナリオの紹介)」という題名で講演していただきました。平成25年11月15日に韓国チェジュ島で開催される核テロを想定した日韓合同訓練のプログラムについての説明を受けました。
今回のセミナーで海外における緊急時のシステムや合同訓練の重要性をあらためて痛感する機会になりました。セミナー終了後は2名の講師と本学から合同訓練に参加するメンバーとの打ち合わせが行われました。
第2回グローバル人材育成セミナー開催
平成25年度の第2回グローバル人材育成セミナーが10月22日に開催されました。
講師にはストックホルム大学Wenner-Gren研究所教授のAndrzej Wojcik博士とドイツ連邦軍放射線生物学研究所教授のHarry Scherthan博士の2名をお招きしました。お二人の先生方には日本放射線影響学会第56回大会(柏倉幾郎大会長、青森市)の特別シンポジウムに引き続きの講演になりました。
本セミナーは高度実践被ばく医療検討委員会グローバル人材育成部門による企画で開催され、本学教員、大学院生、学部学生合わせて約60名が参加しました。
第1演者のAndrzej Wojcik博士には「Accidents in Radiotherapy(放射線治療における事故)」という題名で講演していただきました。2001年2月27日に起きたBialystok Oncology Center(ポーランド)での放射線治療における事故についての講演で、事故の原因究明、乳がん患者の被ばく症例や治療後の写真は大変インパクトのあるものでした。Andrzej Wojcik博士は本事故についての論文を国際誌Radiation Researchにて報告しました(Wojcik A et al. Radiat Res., 160: 677-683, 2003.)。
第2演者のHarry Scherthan博士には「Insights into the DNA damage response to ionizing radiation in human and model systems(ヒトおよび実験モデルにおける電離放射線に対するDNA損傷)」という題名で講演していただきました。Harry Scherthan博士は放射線によるDNA損傷メカニズムの研究をされており、特に酵母を使用して電離放射線によって発生したラジカルやROS(Reactive Oxygen Species)の誘発に関する研究を紹介していただきました。また、二本鎖DNA切断マーカーであるγH2AXに関する研究も活発に行っており、γH2AXのバイオドシメトリー(生物学的線量評価法)に関する研究も紹介していただきました。
両演者共に講演は英語で行われ、本セミナーの参加者は海外における被ばく事故症例や最先端な放射線生物学を学ぶ大変よい機会になりました。
ストックホルム大学放射線防護研究センター Siamak Haghdoost博士が来弘
保健学研究科はスウェーデン王国・ストックホルム大学放射線防護研究センターと平成25年3月6日に部局間学術協力協定を締結しましたが、締結後、最初の研究者として同センターのSiamak Haghdoost博士が平成25年9月16日から21日の間、来弘しました。
Haghdoost博士の専門は分子放射線生物学。医療生命科学領域の教員らと具体的な研究打ち合わせを行ったほかに、9月17日と19日の二度にわたり講演会、セミナーが開催されました。
セミナー等は、今年度から始まった「高度実践被ばく医療人材育成プロジェクト」を実施する高度実践被ばく医療検討委員会グローバル人材育成部門が企画しました。
1回目は、「Genotoxic effects of Reactive Oxygen Species(活性酸素種の遺伝毒性影響)」と題して第21講義室で講演会が開催され、28名の教職員、大学院生が参加しました。
講演する Haghdoost博士
2回目は、Biomarker of oxidative stress and its application for assessment of individual radiosensitivity (酸化ストレスのバイオマーカーと放射線感受性に対する個人差評価への応用)と題して、9月19日に大学院セミナー室3、4で開催され、29名が参加しました。
セミナーに引き続いて行われた交流会では、教職員や大学院生らと堅苦しくない雰囲気の中で活発な意見交換が行われました。
今回のセミナー、講演会はすべて英語で行われ、あらためて国際化には英語の重要性を認識する機会でもありました。
セミナーの様子
教員らと談笑するHaghdoost博士